セメント瓦・モニエル瓦の屋根塗装ガイド|費用相場から施工手順、業者選びまで
投稿日:2026.10.24更新日:2026.10.24
セメント瓦やモニエル瓦は、粘土を焼き固めた瓦とは違い、セメントを主原料にした屋根材です。
素材そのものに防水性があるわけではなく、表面の塗装が雨水から屋根を守っています。
そのため、10年を目安に塗装が傷んだ頃に、塗り替えを行う必要がある屋根材です。
この記事では、セメント瓦とモニエル瓦の違い、塗装が必要になる時期、モニエル瓦で特に注意したい「スラリー層」の扱い、費用の目安、施工の流れ、業者選びのコツまでを順に解説します。
セメント瓦とモニエル瓦はどう見分ける?
はじめに、セメント瓦とモニエル瓦の違い、その見分け方を解説します。
セメント瓦とは

セメント瓦は、セメントと砂を水で練り、型に入れて成形した屋根材です。1960年代から広く使われ、価格が手頃で形のバリエーションも多かったことから、昭和から平成初期の住宅に数多く採用されました。
表面には着色した塗膜があり、この塗膜が防水と見た目の両方を受け持っています。
モニエル瓦とは

モニエル瓦は、ヨーロッパで生まれたコンクリート系の瓦で、日本ではセメント瓦の一種として扱われています。
厚みがあり、独特の重厚感と深みのある色合いが特徴です。
表面には「スラリー層」と呼ばれる着色セメント主体の層があり、その上にクリヤー塗装が施されています。
セメント瓦とモニエル瓦の見分け方

以下の3点に当てはまれば、セメント系の瓦である可能性が高いでしょう。
ただし、見た目だけで判断するのは難しいため、屋根の専門業者に点検を依頼するのが確実です。
- 築年数が約25年から50年で、屋根が重厚な印象
- 瓦の表面がざらついていて、触ると手に粉が付く
- 割れた瓦の断面が、灰色のコンクリート状になっている
屋根塗装の時期を表す劣化サイン

以下の症状が見られる場合は、塗り替えの時期の可能性が高いため、塗装業者に相談をしましょう。
- 色あせて、全体が白っぽく見える
- 表面にコケが目立つ
- 瓦に細かなひび割れがある
- 瓦の端が欠けている、または反っている
- 雨天後、瓦がいつまでも濡れている
モニエル瓦の塗装で注意したいスラリー層

モニエル瓦の塗装で失敗が起きやすいのが、スラリー層の処理です。
スラリー層は、瓦の表面にある着色セメントの薄い層で、経年で劣化すると脆くなり、粉状に崩れてきます。
この状態の上にそのまま塗料を塗ると、塗料はスラリー層に付着するだけで瓦本体には付きません。
数年のうちにスラリー層ごと塗膜がめくれ、剥がれが起きます。
そのため、モニエル瓦では次の対応が欠かせません。
- 高圧洗浄で、浮いたスラリー層を可能な限り取り除く
- 残った層を固めるために、モニエル瓦に対応した専用の下塗り材を使う
- 洗浄後は十分に乾燥させてから塗装に入る
普通のセメント瓦と同じ工程で済ませてしまう業者もいるため、見積もりの段階で「モニエル瓦用の下処理をどう行うか」を確認しておくと安心です。
屋根塗装の施工手順

セメント瓦、モニエル瓦の屋根塗装は、一般的に以下の流れで進みます。
①現場調査・見積もり
屋根の状態を調査し、その結果をもとに見積書を作成します。
見積もりの内容や説明に納得できる場合、契約をします。
②足場仮設
屋根上の作業は転落の危険があるため、足場を組んで安全を確保します。
③高圧洗浄
コケ、汚れ、古い塗膜、モニエル瓦ではスラリー層の浮きを洗い流します。
洗浄後は、瓦が乾くまで時間を置きます。
④養生
窓や玄関ドア、植栽などに塗料が付かないよう、ビニールシートで保護します。
⑤下地補修
割れた瓦の差し替えやコーキングによる補修、棟のズレや固定具合を確認し、必要に応じて工事をします。
⑥下塗り
瓦は吸水性が高く、塗料をよく吸い込みます。
そのため、下塗り材で表面を固め、上塗りとの密着を高めます。
モニエル瓦では、専用のシーラー(下塗り材)を使用します。
⑦中塗り・上塗り
同じ塗料を2回重ねて塗り、均一な膜厚を確保します。
塗り残しや塗りムラがないか、1枚ずつ確認しながら進めます。
⑧完了検査・足場解体
塗り忘れ、瓦の重なり部分への塗料の溜まり、水の通り道がふさがれていないかを確認します。
問題なければ足場を解体し、完工です。
塗料の種類と選び方
屋根は外壁より紫外線や雨風の影響を強く受けるため、耐候性の高い塗料を使用します。
足場の費用を考えると、塗り替えの回数が少ないほうが総額を抑えられるため、シリコン以上のグレードを選ぶ方が多い傾向にあります。
| 塗料の種類 | 耐用年数の目安 | 特徴 |
| アクリル | 5〜8年 | 価格は安いが、持ちが短い |
| ウレタン | 7〜10年 | 柔軟性があり、細部の塗装に向く |
| シリコン | 10〜15年 | 価格と耐久性のバランスが良く、最も選ばれている |
| フッ素 | 15〜20年 | 耐久性が高く、塗り替え回数を減らせる |
| 無機系 | 20年前後 | 汚れにくく長持ちするが、費用は高め |
屋根塗装の費用相場
屋根面積100㎡前後(延床30坪程度の戸建て住宅)の場合、おおまかな目安は次のとおりです。
- 塗装工程の費用:1㎡あたり2,500円〜4,500円
- 足場代:1㎡あたり700円〜1,000円
- 高圧洗浄、下地補修、諸経費を含めた総額:60万円〜100万円前後
割れた瓦の差し替えや補修箇所が多いほど費用は増えます。
また、モニエル瓦は他の屋根材よりも下処理の手間がかかるため、一般的なセメント瓦より高くなる傾向があります。
金額は地域や業者、屋根の形状で変わるため、あくまで目安として捉え、必ず現地調査のうえで見積もりを作成してもらいましょう。
なお、外壁塗装と同時に行えば、足場を共用できるため、別々に施工するより費用を抑えられます。
業者選びのポイント

屋根塗装業者はどこに依頼しても同じ、というわけではありません。
以下の項目を参考に、納得できる対応をしてくれる業者に依頼しましょう。
- 瓦屋根の施工実績があるか:スレート屋根が中心の塗装店では、瓦特有の下処理に慣れていない場合があります。
- モニエル瓦への知識があるか:スラリー層への対応を、具体的に説明できるかを確認しましょう。
- 現地調査を行うか:屋根に上がる、またはドローンや写真で状態を見せてくれる業者は信頼できます。
- 見積もりの内訳が明確か:「屋根塗装一式」とだけ書かれた見積書は、工程や数量が読み取れません。
- 保証内容が書面で示されるか:保証期間と、対象となる不具合の範囲を確認します。
- 訪問販売の即決を避ける:「今日だけ安くする」と契約を急がせる業者は避け、複数社の見積もりを比べましょう。
まとめ
セメント瓦やモニエル瓦は、瓦自体ではなく、その表面に施されている塗装が屋根を守る仕組みの屋根材です。
10年前後を目安に塗り替えを行えば、瓦の寿命を延ばし、葺き替えのような大きな工事を先に延ばせます。
特にモニエル瓦は、スラリー層の処理が仕上がりの持ちを決めます。
高圧洗浄、専用の下塗り材、十分な乾燥という流れの知識を持ち、経験豊富な業者を選びたいものです。
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