【外壁塗装の豆知識】直貼りサイディングは塗装可能?

投稿日:2023.11.14

「直貼りサイディングは外壁塗装によるメンテナンスに適していない」という意見があります。

外壁塗装は外壁のメンテナンス方法として、最も安価で済ませられます。

そのため、サイディング外壁が劣化してきた時には外壁塗装を選びたい方も多いでしょう。

 

この記事では直貼りサイディングの外壁塗装の可否について正しい情報をまとめました。

サイディングが直貼りかどうかを見分ける方法や、外壁塗装をするときの注意点と合わせて紹介するのでご活用ください。

 

直貼りサイディングとは~塗装が向かないと言われる理由~

【外壁塗装の豆知識】直貼りサイディングは塗装可能? (3)

サイディング外壁の貼り方は、「通気工法」「直貼り工法」の2種類があります。

 

通気工法は外側からサイディング材→通気層→防水シート→間柱外部の構造になっています。

通気層があることで、建物の外側と内側の温度差で発生する結露が発生しても乾燥させ、湿気を外に排出できます。

 

一方で直貼り工法はサイディング材と防水シートの間に通気層がありません。

そのため、塗装をすると外壁材内部からの水蒸気が厚い塗膜によって逃げられなくなります。

そうなると塗膜の膨れや剥がれが起きるので、塗装工事は向かないと言われています。

 

直貼りサイディングの見分け方

【外壁塗装の豆知識】直貼りサイディングは塗装可能? (1)

直貼りサイディングかどうか判断する時、見るべきところは水切り板金です。

外壁と基礎の間に設置されている細長い金属を水切り板金といいます。

水切り板金は外壁から滴り落ちた水が直接基礎に当たるのを防ぐ役割があります。

水切り板金を見ると以下のようにして直貼りか通気工法かを見分けることができます。

 

水切り板金にコーキングされている

外壁と水切り板金との間にコーキングが施されている場合は直貼りサイディングです。

外壁と水切り板金との間から水がわずかでも浸透してしまうと外壁が腐食したり、雨漏りを起こす恐れがあります。

そのリスクを減らすための対策としてコーキングが施されていることがあります。

通気工法では水切り板金にコーキングを施すことはほとんどありません。

水切り板金の奥行が深い

外壁と水切り板金の間がコーキングされていないなら、奥行きの長さを測ってみれば見分けられます。

直貼りサイディングの場合には奥行きが1.0cm~1.6cmくらいです。

通気工法のサイディングの場合には2cm~3cmくらいあります。

 

ただし、直貼りサイディングでカバー工法を行った場合には奥行きが2~3cmくらいになって区別が難しくなります。

新築した住宅であれば判別は簡単ですが、中古住宅を購入したときには確認が必要です。

住宅を購入したときの資料にリフォームの履歴があるか見てみましょう。

 

また、仲介を依頼した不動産会社に問い合わせると資料を提供してくれることがあります。

古い中古住宅を購入したときにはカバー工法でリフォームをしている可能性があるので注意しましょう。

 

直貼りサイディングは外壁塗装が可能です!

【外壁塗装の豆知識】直貼りサイディングは塗装可能? (2)

直貼りサイディングでは塗装は避けた方が良いと提案する塗装業者も多いのは確かです。

しかし、直貼りサイディングでも外壁塗装によるメンテナンスは可能です。

通常通り塗装をすればいいというわけではなく、注意点があります。

 

なお、100%不具合が起こらないとは言い切れません。

不具合の危険を確実に無くしたいという場合は他のメンテナンス方法をご検討ください。

 

透湿性の高い塗料を選ぶ

直貼りサイディングの外壁塗装では透湿性が高い塗料を選ぶことが必要です。

外壁に結露が起こった時に透湿性が低いと水分が溜まうからです。

通気工法では水分の逃げ道が確保されていますが、直貼りの場合には逃げ道がありません。

外壁が劣化する原因になるので、直貼りサイディングのときには塗料は透湿性を重視して選びましょう。

 

弾性塗料を避ける

直貼りサイディングの塗装では弾性塗料を避けるのが基本です。

弾性塗料はひび割れを埋め、外壁の強度を高められるというメリットがあります。

直貼りサイディングで弾性塗料を使用すると通気性が著しく低くなるので避けましょう。

ひび割れが起きているほどの劣化状況なら、カバー工法または張り替えをご検討ください。

 

熱がこもりにくい塗料を選ぶ

直貼りサイディングは結露が発生しやすいというデメリットがあります。

そのため、結露による劣化を防ぐためには、温度変化への対策をすることが重要です。

 

そのため、サイディングの内部に熱がこもらないように塗料を選びましょう。

例えば、遮熱塗料を使用すると温度さによる結露のリスクを減らせます。

遮熱塗料は日光を反射するので、太陽光による熱が内部に入りにくくなるからです。

なお、断熱塗料は遮熱塗料と違って外気と内気の差が大きくなるので、直貼りサイディングの塗装には適していません。

 

色についても考慮した方が良いでしょう。

黒や暖色系は熱を溜めやすいので、直貼りサイディングの塗装にはあまり適していません。

白や明るい色を選んで、できるだけ太陽光の熱を帯びないようにすると劣化を防ぐことができます。

 

外壁塗装以外のリフォーム方法

【外壁塗装の豆知識】直貼りサイディングは塗装可能? (4)

直貼りサイディングをメンテナンスするときには塗装、カバー工法、張り替えの3通りの方法があります。

外壁の劣化状況が著しい場合や、外壁塗装で起こる不具合が心配な場合は他のリフォームをご検討ください。

 

カバー工法

カバー工法は既存のサイディングの上に、新しいサイディングを上張りする施工方法です。

直接サイディングを張り付けるだけなので工期が短く、後述の張り替えに比べると費用も安くて済みます。

サイディングがひび割れなどを起こして劣化してきた際、新しいサイディングを貼ると新品のサイディングが外壁を守ってくれます。

 

ただし、直貼りサイディングにカバー工法で上張りしたときには、直貼りのままの状態です。

カバー工法を施工する前よりも通気性が低下するリスクがあります。

カバー工法を選ぶときには既存のサイディングと新しいサイディングの間に防水シートを張って、空隙を作る通気工法で施工すると外壁を守りやすくなります。

 

張り替え

張り替えは直貼りサイディングを取り外して新しいサイディングを設置する施工方法です。

外壁の劣化が著しいときには最もおすすめです。

張り替えではサイディングを撤去して、外壁の下地を調整してから新しいサイディングの施工をおこないます。

この時点で通気工法で施工すれば、次のメンテナンスは外壁塗装で済ませられるでしょう。

張り替えは費用も時間もかかりますが、長期的にはメリットが多いメンテナンス方法です。

 

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